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ちょっとした小話

「100万円あれば開業できる?」その勘違いが命取りです。鍼灸マッサージ院の開業にかかる「リアルなお金」の話 その1 物件探し

前回の記事で「雇われの感覚で開業すると地獄を見る」と書きました。
今回、独立開業の最初のハードルである「物件と改装費」について解説していきます。

まず、多くの人が陥る「取らぬ狸の皮算用」を見てみましょう。

夢のシミュレーション

施術単価:5,000円
1日5人 × 20日稼働 = 月商50万円!
家賃と光熱費で10万円引いても……
手取り40万円! サラリーマン時代より稼げる!

さすがにここまで単純な計算はしていないと思いますが、
この「売上 – 家賃 = 利益」という感覚だけで開業すると半年後に詰みます。
なぜなら、ここには「法律の壁」とそこにかかる「膨大な初期費用」が一切入っていないからです。

【第一の壁:実店舗を構えるための法律】
実店舗を構える場合、自宅の一部を改装するかテナントを借りる必要がありますが、
好きな物件を借りればいいわけではありません。
私たちには「あはき法 第二十五条(施術所の構造設備基準)」という絶対的なルールがあります。

絶対に守らなければならない4つの条件>

1:6.6㎡(約2坪)以上の専用施術室があること。
2:3.3㎡(約1坪)以上の待合室があること。
3:換気できること(面積の1/7以上の窓、または換気扇)。
4:消毒設備があること(手洗い場や消毒用アルコール)。

3(換気)は換気扇、4(消毒)はアルコール設置でなんとかなります。
しかし、1と2の「広さと部屋の仕切り(固定壁)」だけは工事(改造)以外に方法がありません。
狭すぎる物件や、壁が作れない物件を借りてしまった時点で「開業不可(詰み)」です。

【重要:契約前に「保健所」へ!】
さらに厄介なことに、自治体(保健所の担当者)によって指導基準が微妙に違います。
「この図面なら大丈夫だろう」と契約した後に、「これじゃ許可出せないよ」と言われたら数百万円の損失です。
物件を契約する「前」に必ず図面を持って保健所へ行き、「ここで開業して大丈夫か?」を相談してください。

【第二の壁:改装費の現実】
条件に合う物件を見つけ、敷金・礼金。
物件によっては家賃の数ヶ月分を払って契約完了。
これでようやく「箱」が手に入りました。
次は「中身(改装)」です。
ここでもお金が溶けていきます。
借りた物件にもよりますが、本格的なものはプロに頼むしかありません。

スケルトン(コンクリートむき出し)の場合:
坪単価 30万〜50万円。10坪なら300万〜500万円(全部イチから作るので高い)。
事務所仕様(床・天井・照明あり)の場合:
坪単価 15万〜30万円。10坪なら150万〜300万円。

「居抜き」を利用すれば安く済むかもしれませんが配管や壁の位置が法律を満たしていないことも多く、
修正工事で逆に高くつくリスクもあります。

【私の体験談:マンション開業の「落とし穴」】
「そんな金はない!」という方。私もそうでした。
そこで私が選んだのは、マンションの一室(住居兼事務所可の物件)での開業です。

元から部屋が分かれているので壁を作る必要がなく、
換気扇の取り付けなどもDIYで行ったため工賃はゼロ。
資材代の10万円程度で済みました。 テナントで数百万かかるところが10万。
「勝った!」と思いました。

しかし、世の中そんなに甘くありません。
浮いたお金はその後の「運営資金」として消えていくことになります。

私が借りた部屋は6階で、しかも道路に面していません。
1階の路面店なら看板を出せば通行人が気づいてくれます。
しかし、マンションの6階は「存在しない店」と同じです。

結果どうなったか?
誰にも気づかれない店にお客さんを呼ぶためHP作成やポータルサイトへの掲載など、
慢性的かつ高額な広告費をつぎ込むことになりました。

テナント開業: 初期費用は高いが、路面店の場合認知されやすい。
マンション開業: 初期費用は安いが、毎月の広告費(ランニングコスト)がかかる。

結局、ビジネスに「安くて楽な道」はないということです。
これから物件を探す人はこの「等価交換」を覚悟して選んでください。

(次回の予告) 物件が決まり、内装もできた。 次はいよいよ「設備」の購入です。ここでも「見栄を張って爆死する人」が後を絶ちません。 次回は、開業に必要な「最低限の装備リスト」についてお話しします。


執筆・監修:安田 曳太朗
(国家資格:あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)

新大阪エリアで、働く男性の体のケア専門院を運営しています。
もし業界についてもっと詳しく聞きたい場合や、
実際の施術を受けてみたい方は、当院のHPも覗いてみてください。
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