前回の記事では静的ストレッチでは筋出力が低下するのは本当だが、条件付きと書きました。
今回は動的ストレッチを組み合わせることにより
筋力低下が発生しても気にならないレベルまで軽減することができることを解説していきます。
まず前回でも紹介しました
Kay & Blazevich 2012: Effect of acute static stretch on maximal muscle performance
60秒以上の静的ストレッチ
→ 最大筋力・パワー低下が観察される
60秒未満
→ 影響は小さい
しかし、もし60秒以上の静的ストレッチをして筋力低下を起こした場合、
取り返しがつかないのでしょうか?
そんなことはありません。実際にはちゃんと打ち消す方法があります。
ストレッチングによる筋力低下は筋収縮により解消するか?
静的ストレッチで筋力低下が発生し、その後安静
→5分後も筋力低下がみられた
追加で動的ストレッチ
→有意な筋力低下は見られなかった
“Stretch-Induced Reductions in Throwing Performance Are Attenuated by Warm-up Before Exercise”
21名の女子ハンドボール選手(14-18歳)を対象に
メディシンボールの投球距離とハンドボール投球速度の測定を実施
メディシンボールの投球を行う前、上肢の筋肉を対象に
静的ストレッチのみ
→メディシンボール投球距離のパフォーマンス低下
動的ストレッチ
→メディシンボール投球距離のパフォーマンス向上or変化なし
静的+動的ストレッチ
→動的ストレッチのみと同じ結果
Opplert & Babault 2018: Acute effects of dynamic stretching on muscle flexibility and performance
動的ストレッチの急性効果
・関節可動域の増加
・筋温の上昇
・神経筋活動の増加(脳から筋肉への神経伝達がスムーズになる)etc が報告されている
これにより
・スプリント
・ジャンプ
・パワー発揮 などのパフォーマンスを維持向上させる傾向あり
Blazevich et al., 2018:No Effect of Muscle Stretching within a Full, Dynamic Warm‑up on Athletic Performance
20名の18-25歳男性チームスポーツ選手を対象に
軽いウォームアップ→ストレッチ(静的・動的・なにもしない)→競技動作に近いウォームアップ
→パフォーマンステスト(柔軟性テスト、ジャンプ、スプリント、方向転換テスト) を実施
結果
→どのストレッチをやってもパフォーマンスに影響なし
つまりウォームアップとして
静的ストレッチ → 動的ストレッチと段階的に行うことで
・柔軟性の向上
・神経筋系の活性化 の両方を得ることが可能です。
次回は 反証3:なぜ静的ストレッチは悪者になったのか をお届けいたします。
執筆・監修:安田 曳太朗(あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師)

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